いつから?
「いつから義手を始めたらいいですか?」というのは、上肢欠損児の家族から受けることが多い質問です。0歳から 2歳までの早期に義手を始めると、義手の装着を受け入れやすい傾向があります。子どもの成長によりある程度まで手の機能の獲得が進むと、義手により補うことができる機能が不十分と感じることもあります。また患側の手の機能も発達するため、義手を使用しなくても、日常生活動作を健側の手の補助として上手に患側の手を参加させるようになります。そのような発達過程で義手を装着を始めると、患側の手が使いにくくなって、義手を使用する理由づけが難しくなることがあります。また、患側の手になにをさせたいかという目的を、本人がはっきりと自覚ができた時も、義手を作るのによいタイミングといえます。例えば、鉄棒や縄跳びに挑戦する年齢、また学校での授業で両手動作が必要とされるタイミングです。
義手を作り、装着したら自然と使えるようになるわけではありません。義手を上手に使うには作業療法士と一緒に練習することが必要です。練習内容は子どもの年齢に合わせた遊びや、日常生活や学校での課題に取り組みます。そうすることで日常生活で必要な両手動作を義手を使って上手に行えるようになります。その練習は作業療法士、医師、義肢装具士といった義手の専門家と一緒に考えていきます。また子どもは手の機能が発達することで、義肢に求める機能が変化します。そこで、さまざまな種類の義手を適材適所で使用できるようにすることが必要になってきます。上肢欠損の障害があっても、色々な工夫により様々なことに挑戦し、そして達成することで自己肯定感の育成や心身の健全な成長と発達に繋がります。小児義手はこの達成のための選択肢の一つとなります。